日本では、介護保険制度に基づいて様々なサービスが組み合わされて提供されています。
そのため、どのようなサービスが実際に利用されているのかを把握することが重要です。また、多くの高齢者が複数の病気を抱えていることから、これらの健康状態も考慮する必要があります。本研究では、新たに導入された多機能型サービスを含めた介護サービスの利用パターンを明らかにし、これらのサービスを利用する高齢者の病気の特徴も併せて分析することを目的としました。
本研究は、2017年10月に介護サービスを利用していた要介護1から5の在宅高齢者37,419人を対象にしました。
静岡県の国民健康保険、後期高齢者医療保険、介護保険のデータを結びつけ、介護と医療に関するデータを用いて分析を行いました。介護サービスの利用パターンは、サービスにかかる料金に基づきクラスター分析で分類しました。さらに、複数の病気を抱えている状態は「チャールソン併存疾患指数(CCI)」を使って評価し、それぞれのパターンの特徴を比較しました。
結果・考察
6つの介護サービスの利用パターンが見つかりました。
- 軽度な利用(51.0%)
- 通所介護を主に利用(33.7%)
- ショートステイを主に利用(6.3%)
- 訪問介護を主に利用(5.1%)
- 小規模多機能型居宅介護(3.7%)
- 看護小規模多機能型居宅介護を中心に利用(0.2%)
これらのグループの中で、看護小規模多機能型居宅介護を中心に利用しているグループが最も多くの疾患(CCI: 3.6±2.3)を抱えていました。
一方で、通所介護やショートステイを主に利用しているグループは、最も少ない疾患数(CCI: 2.6±1.9)を示していました。
高齢者の複数の病気の特徴は、介護サービスの利用パターンによって異なることが分かりました。本研究の結果が、介護サービスを利用する際に、高齢者それぞれの健康状態やニーズを考慮するための役立つ指針となることが期待されます。