2025/10/04-05に本学で開催された第63回日本医療・病院管理学会学術総会において、石井特任講師が研究を口頭発表しました。演題名:スタッフ看護師のプレゼンティ―イズムとEBP実施に対する看護管理者のプレゼンティ―イズムと働きやすい職場環境の関連:感情伝染理論の応用, 研究者:石井馨子、武村雪絵、北村言.
本研究では、病院がEvidence-based practice(以下、EBP)を採用した際、看護職によるそのEBPの実施を促す職場の状態を明らかにすることを目的とし、スタッフ看護職と看護管理者のプレゼンティ―イズム(心身の不調を抱えながら勤務を継続している状態)、職場の働きやすさに着目し、スタッフ看護職と看護管理者それぞれにWebアンケートを実施しました。看護管理者とスタッフ看護職を病棟ごとにマッチングし、マルチレベル構造方程式モデリングを実施しました。
結果、働きやすい職場がスタッフ看護師のプレゼンティ―イズムが改善し、EBP実施を促す可能性が示唆されました。EBPを促進するためには、働きやすい職場環境の整備に加え、スタッフのプレゼンティーイズムを軽減することが重要です。また、看護管理者のプレゼンティーイズムが高いと働きやすい職場環境の認識を低下させることから、働きやすい職場の整備においては、看護管理者の心身の健康への配慮も不可欠であることがわかりました。本研究は、Emotional Contagion Theoryの視点から、管理者の健康状態が間接的にEBP実施に影響をおよぼす構造を明らかにし、 組織管理上の新たな視点を提示しました。EBP実施を促す組織づくりには、管理者とスタッフ双方の心身の健康と働きやすい職場環境に対する支援が求められます。

