日本では、2021年より、長期ケアの質を保証するためにLIFE(Long-term care Information system For Evidence)が開始されています。
本研究では、介護施設入所者の身体機能低下の予測因子を、LIFEの項目のみを用いて明らかにすることを目的としました。
2021年7月(T0)および2022年1月(T1)に、日本の45施設の特定施設入所者1648人を対象に、LIFEデータを後向きに収集しました。データ収集項目は、対象者の人口統計学的データ、Barthel Index(BI)で評価した身体機能、栄養および口腔の健康、認知機能を含んでいます。さらに、認知症行動障害尺度を用いて、「夜中に起きる」などの特定の行動の頻度を評価ました。アウトカムは、T0時と比較してT1時のBIスコアが5以上低下した場合を身体機能の低下と定義しました。統計解析には、混合効果モデルを用い、身体機能の低下の予測因子を検討しました。
結果・考察
結果参加者の平均年齢は87.2±7.1歳で、45.3%が調査期間中に身体機能が低下していました。身体機能低下の有意な予測因子は、以下の要因であることが示されました。
- 年齢≧90歳
- BMI<18.5kg/m2
- 認知症の診断あり
- 中等度・重度の認知障害あり
- 挨拶、呼びかけに対する意思疎通ができない
- 常に夜中に目が覚める T0時の身体機能が高い
LIFEの項目が、特定施設入居者の身体機能の低下を予測し、長期ケアの質を保証するために利用できることが示唆されました。
Physical function decline predictors in nursing home residents using new national quality indicators…
The LIFE items predicted PF decline among nursing home residents, suggesting that LIFE data can be used to ensure the quality of long-term care. Geriatr Geronto…