嶋谷特任講師が筆頭著者の論文がJournal of the American Medical Directors Associationに受理されました
Impact of Falls and Fall-Related Hospitalization on Subsequent Vitality Decline Among Japanese Nursing Home Residents: A Longitudinal Fixed-Effects Analysis
日本の介護付き有料老人ホーム入所者における転倒および転倒関連入院がその後の意欲低下に与える影響:縦断的固定効果分析
概要
本研究は、介護付き有料老人ホーム入所者における転倒および入院と、その後の日常生活の意欲(バイタリティ・インデックス)低下との関連を検討したものです。転倒そのものはその後の意欲低下と関連が認められませんでしたが、転倒に伴う入院は数か月後の意欲低下と関連していました。
研究の背景
高齢者の転倒は、外傷だけでなく転倒恐怖(fear of falling)や活動量の低下といった心理・行動面への影響が指摘されています。一方、日常生活の行動意欲を評価するバイタリティ・インデックス(起床、意思疎通、食事、排泄、活動への意欲を観察評価する指標)が、転倒によってどう変化するかは十分に検討されていませんでした。
研究の手法
関東地方の介護付き有料老人ホーム5か所の入所者338名について、月次データを個人内の変化として捉える固定効果モデルで、転倒および入院から1〜3か月後の意欲変化を分析しました。
結果
転倒そのものは、その後の意欲低下と有意な関連を示しませんでした。
一方、認知症のない入所者では、転倒に伴う入院が2〜3か月後の意欲低下と関連していました(2か月:β=0.070、p=0.024/3か月:β=0.082、p=0.019)。
転倒以外の理由による入院も、同集団において2〜3か月後の意欲低下と関連していました。
下位項目の探索的分析では、転倒関連入院で3か月後の排泄項目、転倒以外の入院で2か月後の起床項目・3か月後のリハビリ/活動項目に、それぞれ低下との関連が認められました。
結論
転倒予防に加えて、入院を経験した入所者に対しては、退院後数か月間の意欲変化を観察し、入院理由に応じたケアを個別に組み立てることが、施設での生活継続の支援につながる可能性があります。

