福井小紀子教授からのメッセージ
当分野のホームページを見ていただきまして、ありがとうございます。在宅・緩和ケア看護学分野の教授をしております福井と申します。
これから急速に進む超高齢・人口減少社会とそれに応じた医療介護提供体制の変革を受けて、在宅ケアはますます重要な領域になると考えます。また、今後続く多死社会におけるすべての疾患を含む緩和ケアはより重要性を増していくと考えます。
これら社会背景を受けて、在宅で暮らす人、そして看取り期にある人が、豊かに暮らし、最期まで尊厳を保って過ごせるように、医療と生活の側面からどのように支えていけるか、を看護学という視点から分野メンバーと日々研鑽している研究室となります。
当研究室が現在取り組んでいる主な研究テーマは、以下の4つとなります。
1つ目は、DX(デジタルトランスフォーメーション)が医療分野と介護分野において急速に推進される時代的背景のなか、看護の視点で行う企業と連携をして進める研究です。見守り機器や介護ロボットを用いて、看護師が目の届かない患者さんの状況を連続観察し、その情報をもとにより適切なアセスメントにつなげ、効果的な介入をする、という好循環を目指した産学連携研究やトランスレーショナルリサーチを行っています。
2つ目は、ビッグデータ活用が進むなか、国保データベースなど自治体が保有する医療介護レセプト情報や、病院や在宅機関や介護施設で集積されているケア記録と看護記録などを連結して、療養者の状態把握、我々看護師や介護職によるケア提供状況、療養者さんの状態の維持や悪化、療養場所の変化といったアウトカムの3つの関連性を解析し、ケアの効果のエビデンス化を目指した研究を進めています。
3つ目は、ケアの受け手に直接的に役立つテーマである、入退院支援、エンドオブライフケア、在宅緩和ケア、施設看取り、認知症ケア、レスパイトケア、治療後の在宅療養者のフレイル予防などの「個別ケアの発展」に貢献する研究を展開しています。
4つ目は、ケア提供者自身にとって有用であり、ひいてはケアの受け手に間接的に役立つテーマとなる、医療介護連携、在宅ケア管理、離職防止、スタッフ教育などの「連携や教育」につながる研究です。
以上のように、当研究室では、“DX”、“ビッグデータ”、“個別ケア”、“連携・教育”の4つをキーワードに、幅広く、他の学問分野の研究者のお力をお借りしつつ、企業や行政との連携を図りながら、社会的ニーズに看護が応えることを目指して、幅広い研究テーマを展開・追及しています。
本学の大学院は、5年一貫課程となっていますが、2年間で修士号取得して修了、後半3年目で入学して博士号取得といった柔軟な学位取得も可能な課程です。日々研鑽を積んでいる我々と一緒に、将来の看護学の発展に繋がる研究仲間となっていただける方を心よりお待ちしています。
福井小紀子